【アニメーションの12の原則】ディズニーから学ぶ映像作品の表現方法

皆さんご存知のウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ。
映画をはじめとした数多くの映像作品を生み出している伝説のアニメーションスタジオです。

そんなディズニースタジオの創設時期のアニメーターが書いたある本にキャラクターに命を吹き込む12の原則が書かれているのをご存知ですか?

今回はその12の原則をはじめ、その本に書かれているディズニースタジオが実際に使っている様々な映像の表現方法をご紹介していきます。

その方法を知ることで自身が映像作品を作る時に役立ちますし、ディズニーファンの方はより深くディズニー映画の魅力を知ることができます。

 

The Illusion of Life

まずはじめに今回の記事のもととなっている本を紹介をします。

『ディズニーアニメーション 生命を吹き込む 魔法 ― The Illusion of Life ―』
著 フランク・トーマス/オーリー・ジョンストン

この本はウォルトディズニー全盛期の時代のアニメーションの基本的な原則や表現方法の内容が後世に語り継がれ、現在大型本として販売されているものです。

 本書は1981年にアメリカで初版が発行されて以来、版を重ね、20年来読み継がれてきた「アニメーションのバイブル」と呼ばれているアニメーションの「技法」と「精神」を語る大著の、待望の日本版です。著者のフランクとオーリーは、ディズニー映画の全盛期を築いた「ナイン・オールド・マン(9人の侍)」と呼ばれる優れたアニメーターたちである。彼らは『ピノキオ』『白雪姫』『ピーター・パン』など数多くのディズニー映画に携わり、ディズニー・スタジオならではのいきいきとした表現と技法を開発、追求した。

Amazon商品紹介ページ より

この本を日本語訳したのは、日本のアニメーションスタジオの代表ともいえる『スタジオジブリ』です。スタッフロールでよく見る、高畑勲(代表作:火垂るの墓)と大塚康生(代表作:ルパン三世カリオストロの城)の両名が日本語訳にかかわっています。

映像作品の表現の参考として読むだけではなく、ディズニーのファンブックとしても十分に楽しめる内容です。アニメーションの”聖書”とも呼ばれている本なので映像作品を作っている方はもちろん、ディズニーファンは是非持っておきたい一冊です。

 

 

この本の『第3章 アニメーションの原則』にかかれている内容がこのページでご紹介する『アニメーション12の原則』です。この原則をアニメーションに取り入れることにより本のタイトルのとおりキャラクターに生命を吹き込むことができます。

ディズニーの生み出すキャラクターはなぜ生き生きとしているのか、詳しく見ていきましょう。

 

アニメーションの12の原則

『ディズニーアニメーション 生命を吹き込む 魔法 ― The Illusion of Life ―』には以下の12の原則がかかれています。

① Squash and Stretch (潰しと伸ばし)
② Anticipation (予備動作)
③ Staging (演出)
④ Straight Ahead Action and Pose-to-Pose Action(逐次描きと原画による設計)
⑤ Follow Through and Overlapping Action (あと追いの工夫)
⑥ Slow In and Slow Out (両端詰め)
⑦ Arcs (運動曲線)
⑧ Secondary Action (副次アクション)
⑨ Timing  (タイミング)
⑩ Exaggeration (誇張)
⑪ Solid Drawing (実質感のある絵)
⑫ Appeal (アピール)

ウォルト・ディズニーの全盛期、制作スタジオの中では様々な「隠語」、いわゆる業界用語が飛び交っていました。
「Overlapping」「Squash」「Stretch」「Pose-to-Pose」 といった、それらの隠語はディズニーが提唱する 12 の原則の名前の元となっています。上記の 12の原則はアニメーションにおいて、キャラクターに命を吹き込む基本的かつ重要な原則です。

以下では『The Illusion of Life』の引用と、アニメーターのAlanBeckerがYouTubeで公開している12の原則の説明動画を使って説明していきます。動画の解説はすべて英語ですが字幕を日本語にしてみれば十分理解できる内容になっています。
また、各原則の詳細ページのリンクも記載しています。そちらのページではより詳しい解説と、実際にディズニー作品で使用されている12の原則の例も紹介しているのでぜひ読んでみて下さい。

 

Squash and Stretch (潰しと伸ばし)

この原則は物体に重さや柔軟性があるように思わせることができます。

ボールは高い場所から地面に落ちて跳ね返る時、地面で一瞬潰れその直後に伸びて跳ね返る動きをします。このようにアニメーションでもSquash(潰し)とStretch(伸ばし)をつけることで、ボールの質量や重量を感じさせることができます。

これはボールに限った話ではなく、あらゆるものに使うことのできる表現方法です。
動画のようにキャラクターの動きに潰しと伸ばしを取り入れることで、柔らかさが表現できて生き生きとしたキャラクターにすることができます。

逆にこの表現を取り入れないと、カチカチでロボットのような無機質な動きとなってしまいます
本にも一番重要と書かれているほど、アニメーションで重要かつ基本となる表現方法です。

 これらの手法の中で一番重要な発見は、〈潰し〉と〈伸ばし〉とよんでいるものだった。
形の変わらないものを紙の上で描き、ある絵から次の絵へと位置を移動させると、ひどく硬いものになり、動きによってそれが強められてしまう。現実の世界では動いたときにそこまで硬く見えるのは、椅子や皿や鍋など、本当に硬いものだけだ。生き物なら、どんなに骨ばっていても、動いているうちに、肉体が許す範囲でかなりの柔軟性を示すのがわかる。

生命を吹き込む魔法 –Illusion of Life–』p.52 より

 
ディズニーアニメーションでの実用例

映画『ピノキオ』(1940)より

原則内容の詳しい解説、その他の実用例は下記ページに記載しているのであわせてご覧ください。

 

Anticipation (予備動作)

みなさんはジャンプする直前に、自分がどんな動きをしているか意識したことはありますか?
おそらく大半の人は足をまげて、いわゆる屈伸の動きをすると思います。

この動きこそアニメーションでいうAnticipation(予備動作)です。

走る直前に後ろにグッと身を引いたり、ボールを投げる直前に振りかぶる動作をするのもこの予備動作にあたります。

これらの動きを取り入れることで、見ている人がよりスムーズに内容を理解することのできるアニメーションに仕上げることができます。
見ている人に「このキャラは次に走り出すな」「このキャラは次に物を投げるぞ」と予想させ、その通りにキャラクターを動かすことで見ている人は気持ちよくスムーズに内容を理解することができます。

また、キャラクターの動きだけでなく画面のレイアウトや演出方法によってAnticipation(予備動作)を取り入れることもできます。

 アニメーションを作るときは、観客を1つの動作から次の動作にまちがいなく導くように、アクションの連続性を計算する必要がある。さもないと、観客はスクリーンでおきていることが理解できなくなってしまう。観客が次の動きに対して心の準備をし、実際に見る前にそれを予想するようにしむけるのだ。そのためには、主要な動作の動きの前に、次におきることを観客に予想させる明確な動作を加えればよい。この〈予備動作〉は、表情の変化のような小さなものにもあるし、肉体を派手に使ったアクションのように大きなものにもある。

生命を吹き込む魔法 –Illusion of Life–』p.55 より

 
ディズニーアニメーションでの実用例

映画『バンビ』(1942)より

原則内容の詳しい解説、その他の実用例は下記ページに記載しているのであわせてご覧ください。

 

Staging (演出)

どのような映像作品でもカメラワークや画面のレイアウトは重要になってきます。
この原則はそんなカメラワークやレイアウト、演出方法、設定の考え方についての内容です。

カメラワークでいえば、ゴジラや巨人のような大きなものは下から見上げたほうが、よりその大きさを表現することができます。逆に上から見下ろすカメラワークにすることで小さなキャラクターはより小さく見せることができます。

演出方法でいえば『葬式のシーンは雨』『ホラーシーンは夜』はよくある演出です。
葬式のシーンで絶対に雨を降らさないといけないという決まりはありませんし、ホラーシーンも朝の明るい部屋でやってもいいはずです。しかし多くの作品は決まって雨を降らせたり、夜や暗い部屋の設定で作品を作ります。

それはなぜか。
そのほうが見ている人をより深く感情移入させることができるためです。

これらのカメラワークや演出方法などの考えがこの原則の内容です。
より効果的な表現をすることで、見ている人の心を動かすことができるのです。

 〈演出〉は、様々な分野に適用され、演劇の中でも古い歴史をもつ、最も普遍性の高い原則だ。しかし、その意味は厳密に決まっている。演出とは、あるアイデアを、どこをとっても間違いようのないほど明確に提示することだ。アクションなら内容を理解できるように、キャラクターなら誰だか見分けがつくように、表情なら見てとれるように、雰囲気なら観客の気持ちを動かすようにする、それが演出である。正しく演出されれば、それぞ れの要素は観客に100パーセント伝わるものだ。

生命を吹き込む魔法 –Illusion of Life–』p.57 より

 
ディズニーアニメーションでの実用例

映画『ズートピア』(2016)より

原則内容の詳しい解説、その他の実用例は下記ページに記載しているのであわせてご覧ください。

 

 Straight Ahead Action and Pose-to-Pose Action
 (逐次描きと原画による設計)

この原則はアニメーションの基本的な作り方についての内容です。
アニメーションを作っていくときの代表的な方法を説明しています。

Straight Ahead Action はパラパラマンガやストップモーションアニメーションと同じような作り方でフレーム1枚1枚すべてに動きを描いていくものです。
それに対し Pose-to-Pose Action はポイントとなるフレームをいくつか先に描き、後でその間を補間するものです。3DCGアニメーションは2つのキーフレームを打てばコンピュータが自動でフレーム間を補間するため、こちらの作り方に該当します。

基本的にはこの2つの作り方でアニメーションは作られます。
現在では両者のメリットをそれぞれ生かし、使い分けながらどちらも使って作成します。

 アニメーションのやり方は大きく分けると 2 つある。1 つは〈逐次書き〉で、その名のと おり、アニメーターはカットの頭から逐次絵を描いていく。1 枚目から次々に描いていき、描きながら新しいアイデアを取り入れ、カットの最後の絵に至る。そのカットに必要な絵やストーリー・ポイントは把握しているが、それらをどう具体化するかは、描き始めの時点ではほとんど決めていない。この方法では、アニメーターは作画の全過程で創意を発揮できる ので、絵もアクションも新鮮で、ややおどけた感じに見える。
 もう 1 つは〈原画による設計〉だ。この方法では、アニメーターはまずアクションの計画を立て、その演技内容をアニメ―とするにはどんな絵が必要かを考え、サイズやアクションにつながりを持たせながらそれぞれの絵を原画として描き、できたカットをアシスタントに渡して中割の絵[訳注:日本では動画]を描かせる。この方法では、絵に入り込んでしまう前にアニメーターは絵と絵の関係を注意深く計算するわけだから、できあがったカット はまとまりがよく、わかりやすいものになる。

生命を吹き込む魔法 –Illusion of Life–』p.60 より

 
ディズニーアニメーションでの実用例

映画『シュガー・ラッシュ』(2012)より

原則内容の詳しい解説、その他の実用例は下記ページに記載しているのであわせてご覧ください。

 

Follow Through and Overlapping Action (あと追いの工夫)

現実世界では何かが動き出して止まる時、全てのパーツが同時に動き出し、全てのパーツが同時に止まることはありません
つまりは、そうならない動きを意識する必要があるとこの原則ではいっています。

走っているキャラクターの体が急に停止したとしても、そのキャラクターの髪の毛や服の裾などの体と別の部分は、それまで動いていた動きを続けようとして体と同時に止まることはありません。

アニメーションにも現実にも起こる物理的な現象を取り入れることで、より説得力のあるアニメーションになるのです。

あるカットに登場したキャラクターが次のアクションに移るとき、いきなり完全に動きを止めてしまうことがよくあった。それはぎこちなく不自然に見えたが、どうしたらいいのか誰にもわからなかった。ウォルトはこの問題に気をもんで、こういった「物体の全体が一度に止まることはないんだよ。最初にある部分の動きが止まって、それから他の部分が止まるんだ」。やがて、この問題を解決する方法が開発された。それは〈フォロー・スルー〉と〈オーバーラッピング・アクション〉などと呼ばれたが、両者の区別は厳密ではなかった。その方法は、だいたい次の 5 つのカテゴリーに分類できた。

生命を吹き込む魔法 –Illusion of Life–』p.63 より

 
ディズニーアニメーションでの実用例

映画『ライオン・キング』(1994)より

本に書かれている『5つのカテゴリー』を含めた原則内容の詳しい解説、その他の実用例は下記ページに記載しているのであわせてご覧ください。

 

Slow In and Slow Out (両端詰め)

生き物の動きを含めほとんどの物体の動きは、加速と減速に時間がかかります

物体が動く時いきなり最高速度になり、止まる時に最高速度から急に停止することはありません。
この原則は、動きの始まりと動きの終わりの速度は徐々に落ちていくというものです。

等速に動くのは人口的なものだけで、自然の動きで等速なものはありません。
この原則を意識しておかないとキャラクターは機械的な動きになってしまいます。

 それぞれの原画の近くに中割り(動画)をつめて配置し、中間はさっと 1 枚だけにすると、キャラクターの動きに勢いが出て、活気が生まれる。こうした中割は〈スロー・イン〉〈スロー・アウト〉と名づけられた。この手法を濫用すると、アクションが機械的になり、そもそもの狙いだった生命感が失われてしまうが、この手法が発見されたおかげで、タイミ ングや演出の方法も洗練されていくことになった。

生命を吹き込む魔法 –Illusion of Life–』p.66 より

 
ディズニーアニメーションでの実用例

映画『アラジン』(1992) より

原則内容の詳しい解説、その他の実用例は下記ページに記載しているのであわせてご覧ください。

 

Arcs (運動曲線)

ほとんどの自然な動作の軌道は曲線(Arc)を描いています。

これは私たち人間の関節を見ればよくわかります。
腕や脚は関節を中心とした円運動(つまりはArc)を行うことで動いています。
これはほとんどの生物に対していえることです。

また、物体が投げられた時に描く放物線やボールがバウンドする軌跡も曲線です。
現実と同じ動きであるこの原則を意識的に取り入れることで、よりリアルなアニメーションになるのです。

 生きものの中には、機械のようにまっすぐ前後へ、上下へと体を動かせるものはほとんどない。キツツキや、硬い外殻をもつ昆虫は例外かもしれないが、動物の動きは普通はかすかな曲線を描く。頭部が前後に動くときも、前に突き出されるときは軽く上がり、後ろに戻るときは下がる。そうなるのは、重量や、高等動物の体内構造のせいだと思うが、とにかく、 ほとんどの動きはある種の曲線を描いているのだ。

生命を吹き込む魔法 –Illusion of Life–』p.66 より

 
ディズニーアニメーションでの実用例

映画『ベイマックス』(2014)より

原則内容の詳しい解説、その他の実用例は下記ページに記載しているのであわせてご覧ください。

 

Secondary Action (副次アクション)

Secondaryは「第二の」「副次的な」「派生的な」「従属的な」などの意味です。
つまりSecondary Actionとはその名のとおり、メインの動きに対して副次的で、その動きを引き立てるアクションのことをいいます。

例えば、おなかが減った時におなかをさする動作であったり、おいしそうなご飯を見たときによだれが出る動作など様々な動きがあります。
この動きを取り入れることでキャラクターはより魅力的で生き生きとしたものになります。

 あるアクションの狙いは、副次的なアクションで強調できることが多い。悲しみにくれたキャラクターは、顔をそむけつつ涙をぬぐう。気絶から回復したキャラクターは、立ち上がりながら首を振る。取り乱したキャラクターは、落ち着きを取り戻したときにメガネをかける。主要なアクションを支えるこれらの動きは〈副次アクション〉と呼ばれ、主要なアクションに対し常に従属的な立場にある。副次アクションが主要なアクションと対立したり、主要なアクションより目立ったりする場合は、副次アクション自体がまちがっているか、演出に問題があるといえる。

生命を吹き込む魔法 –Illusion of Life–』pp.67-68 より

 
ディズニーアニメーションでの実用例

映画『ふしぎの国のアリス』(1951)より

原則内容の詳しい解説、その他の実用例は下記ページに記載しているのであわせてご覧ください。

 

Timing (タイミング)

キャラクターの動きを描くときに気を付けないといけないのは、その動きがどれくらいのスピードでどのくらい時間がかかるのかを考えなければならないということです。

たとえばチーターとカメがレースをするアニメーションを作るとします。
普通に考えたらチーターのほうが速く、カメのほうが遅くなるように動きを描きます。
ここで特に意味なくチーターよりカメを速くしてしまうと観ている人は困惑してしまいます。

ある動きにどれほど時間がかかるのかを考えるのが、この原則『Timing』なのです。

 あるアクションにかかる時間は、それに使われる絵の枚数で決まる。単純で、明確で、表現力豊かな絵を描けば、ストーリー・ポイントはすぐに伝わる。 (中略) キャラクターの性格は進化を続けており、その性格は外見より動きの方に表れていた。キャラクターが無気力か、興奮しているか、そわそわしているか、くつろいでいるかということも、動きの速さで決まった。タイミング、つまり中割りの枚数に細心の注意を払わなければ、キャラクタ ーの演技も態度も描写することはできないのだ。

生命を吹き込む魔法 –Illusion of Life–』p.68 より

 
ディズニーアニメーションでの実用例

映画『ズートピア』(2016)より

原則内容の詳しい解説、その他の実用例は下記ページに記載しているのであわせてご覧ください。

 

Exaggeration (誇張)

この原則はキャラクターのアクションを誇張して大袈裟に表現するというものです。

現実の世界では起こりえない誇張した動きをキャラクターにさせることによって、その動きをより印象付けることができます。驚いた時に目を飛び出させたり、辛い物を食べた時に火を吹いたりと様々な表現方法があります。

誇張表現は大袈裟にするほどコメディ調の強い作品になります。
そのため誇張表現は作品のジャンルに合わせて誇張の加減を調整する必要があります。

 ウォルトはリアリズムを重視しろと命じておいて、あがってきた絵を見ると誇張が足りないと文句を言ったので、アニメーターたちは混乱した。ウォルトにとっては、両者は矛盾するものではなかったのだろう。彼はものごとの核心に迫り、そこに見たエッセンスを発展させるべきだと考えていた。

生命を吹き込む魔法 –Illusion of Life–』p.69 より

 
ディズニーアニメーションでの実用例

映画『アラジン』(1992)より

原則内容の詳しい解説、その他の実用例は下記ページに記載しているのであわせてご覧ください。

 

Solid Drawing (実質感のある絵)

この原則は、アニメーターは常に遠近感や立体感を意識して絵を描かなければならないというものです。

たまに作画崩壊している作品も見かけますが、そういった作品はこの原則ができていないということになります。この原則ができていないとキャラクターが魅力的でも『作られたもの感』のある作品になってしまいます。

 若いアニメーターの目にとまるように、スタジオの壁にはいろいろな標語が掲げられていたが、みんなが一番よく覚えているのは「その絵は重さと奥行きがありバランスが取れているか?」というものだ。それは、実質感のある立体的な絵を描くときの基本を教える標語だった。

生命を吹き込む魔法 –Illusion of Life–』p.71 より

 
ディズニーアニメーションでの実用例

映画『ノートルダムの鐘』(1996)より

原則内容の詳しい解説、その他の実用例は下記ページに記載しているのであわせてご覧ください。

 

Appeal (アピール)

この原則は、キャラクターの動きやデザインなどで観客に訴えて、人が眺めていたいと思えるものを作らなければならないというものです。
ヒーローならヒーロー、悪役なら悪役らしい動きやデザインにする必要があるということです。

キャラクターに魅力があるだけでも作品の見え方は大きく変わってきます。

ミッキーをはじめ、ディズニーの様々なキャラクターはこのAppealに成功しています。
ディズニーがこれだけ成功しているのはこのAppeal、つまりは私たちに訴えかける力が非常に強かったからなのではないでしょうか。

 アピール(訴える力)は初めから大切な要素だった。アピールというと、かわいらしいウサギちゃんとか、ふわふわした子猫ちゃんがもつものだと思われがちだ。私たちはその言葉を、人が眺めたいと思うもの、人を引きつける性質、楽しいデザイン、簡潔さ、観客に訴える力、吸引力という意味で使った。人はアピールのあるものに目を奪われ、対象を観賞するあいだ視線はそこに釘付けになる。印象の強いヒロイックなキャラクターにはアピールがある。悪女は冷酷で芝居がかっていたりするが、それでもアピールがなければならない。さもないと悪女のすることを見ていたいとは思えなくなる。醜く不快なキャラクターも視線をとらえはするが、それだけではキャラクター像を深めることも、キャラクターを状況に結びつけることもできない。衝撃を与える効果はあっても、ストーリーを盛り上げることはできないのだ。

生命を吹き込む魔法 –Illusion of Life–』p.72 より

 
ディズニーアニメーションでの実用例

映画『ライオン・キング』(1994)より

原則内容の詳しい解説、その他の実用例は下記ページに記載しているのであわせてご覧ください。

 

まとめ

今回はディズニーのアニメーションの12の原則についてでした。

アニメーションの12の原則を取り入れることで、キャラクターに生命を吹き込むことができます。
そうすることで、見ている人はキャラクターに感情移入することができるのです。
生命の宿っていないキャラクターに感情移入することはまずありません。

ディズニーがこれほど人気になった理由の1つは、作品の土台としてこの『アニメーションの12の原則』があることだと思います。この原則が作られた時代は2Dの手描きアニメーションでしたが、今のディズニー映画は3DCGが主力となっています。しかし、これらの原則はしっかりと受け継がれ3DCGの中でも見ることができます。

映像作品を作っている方は、12の原則を取り入れるにしても取り入れないにしても、12の原則を知っているということが重要だと思います。ぜひ今回知った内容を参考に、より良い作品作りをしてください。

ちなみに各原則で実用例として挙げていた作品のどこにどのようにして原則が取り入れられているかは、各原則の詳細ページで解説しているのでそちらをご確認ください。

 

2020年3月8日ディズニー, 映像制作, 映画

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