指定したフォルダ内のすべてのCATDrawingをDXF/PDFファイルで出力|CATIAマクロの作成方法

今回はマクロ案より頂いた内容です。
送って頂いた内容は以下のようなマクロです。

ワークベンチ: CATDrawing
 
マクロ案: 
目的:たくさんの.CATDrawingファイルがあり、それぞれをDXFとして書き出したい
 ↓
・「CATDrawingをDXF/PDFファイルで出力|CATIAマクロの作成方法」で作成できるのでは?
https://liclog.net/export-dxf-pdf-macro-vba-catia-v5/
 ↓
・上記の方法だと1つのアクティブシートしか認識しない

CATDrawingをDXF/PDFファイルで出力」ページでDXF化する方法を紹介していますが、このマクロは現在開いているアクティブなCATDrawingのみをDXF/PDF化するものとなっています。

そこで今回はお問い合わせいただいた内容のとおり、アクティブドキュメントだけでなく指定したフォルダ内にあるすべてのCATDrawingをDXF/PDFで出力するマクロを紹介していきます。基本的な処理は「CATDrawingをDXF/PDFファイルで出力」ページのマクロと同じですが、ファイル/フォルダ操作の処理が追加されていくイメージです、

※本マクロはDXF/PDFの両方に対応させていますが、片方が不要な場合はコード解説を参考に該当処理をコメントアウトしてください

 

マクロの機能

今回作成したマクロは指定したフォルダ内のすべてのCATDrawingをDXF/PDFファイルで出力するマクロです。選択したフォルダ内にCATDrawing以外のものがあっても実行できるようになっています。具体的な機能は以下のとおりです。

  マクロの機能まとめ ・指定したフォルダ内のすべてのCATDrawingをDXF/PDFファイルで出力
・DXF/PDFは指定したフォルダ内に新規フォルダを作成してそこに出力する
・出力するファイル名称は「ドキュメント名(.dfx/.pdf)」
 複数シートがある場合は「ドキュメント名_シート名(.dfx/.pdf)」
・出力後はフォルダを開く

 

サンプルコード

マクロのサンプルコードは以下のとおりです。
フォルダ選択時の「ルートディレクトリとなるパスである「ROOT_FOLDER_PATH」の中身を自身の環境に書き換えないとエラーが発生するので注意してください。
今回のマクロはファイルを1つも開いていなくてもCATIAさえ開いていれば実行できます

 

コード解説

定数の定義

「フォルダ選択時のルートディレクトリのパス」「出力時の新規フォルダ名称」を指定します。

「フォルダ選択時のルートディレクトリのパス」はマクロ実行後に表示する、フォルダ選択のウィンドウ上で一番親となるディレクトリのパスです。たとえば「”C:\Users\liclog”」とした場合、マクロ実行で表示されるフォルダ選択ウィンドウは下画像のようになります。

扱うフォルダが深い階層にある場合、マクロ実行毎に階層を下りていくのは面倒なので扱いやすくなるディレクトリのパスを指定しておきましょう。

「出力時の新規フォルダ名称」はDXF/PDF出力する際に新規作成されるフォルダの名称です。
任意で名称を書き換えてください。

 
 ユーザー選択でフォルダパスを取得

まずはユーザー選択により出力するCATDrawingがまとまったフォルダのパスを取得します。
ユーザーが選択したフォルダのパスを取得する方法としてShellオブジェクトの「BrowseForFolderメソッド」を使用します。

そのため、まずは「CreateObject関数」を使って「Shellオブジェクト」を取得します。
また以降で使用する「FileSystemObject」もここで合わせて取得しておきます。
※FileSystemObjectはCATIA VBAの「FileSystemオブジェクト」を使っても問題ありません。
 その場合は「Set fso = CATIA.FileSystem」として取得します。

Shellオブジェクトが取得出来たら「BrowseForFolderメソッド」でユーザー選択のフェーズを用意します。(BrowseForFolderメソッドの使い方は検索すれば出てくるのでそれらを参照ください)

ユーザー選択で取得したフォルダは「obj_fold.Self.path」と書くことでパスとして取得できます。

 
CATDrawingファイルがあるか確認

次にユーザーが選択したフォルダ内にCATDrawingファイルがあるかを確認します。
先ほど取得したFileSystemオブジェクト「GetFolderメソッド」を使ってフォルダの取得し、フォルダ内ループでCATDrawingファイルが存在しているかを網羅的に確認します。

フォルダ内ループは、フォルダ取得後に下記のように書けば行えます。
フォルダ(fs) 内にあるファイル(f) がループ毎に順に切り替わっていきます。

icon-code フォルダ内ループ 

For Each f In fs
      ‘ f (ファイル)を使った処理

Next f

今回のコードでは拡張子である「”.CATDrawing”」が名称に含まれているかを確認しています。
ループ終了後に1つもCATDrawingファイルがない場合はマクロを中断させる処理にしています。

 
出力用新規フォルダ作成

つぎにDXF/PDFを出力するための新規フォルダを作成します。
場所はユーザー選択で取得したCATDrawingファイルがまとまっているフォルダ内としています。
その際、すでに同名のフォルダがある場合はマクロを中断させる処理になっています。

フォルダの新規作成/同名フォルダの存在確認のコードはFileSystemオブジェクトページで詳しく解説しているので、リンク先ページを参照ください。

フォルダ内ループでDXF/PDF出力

つぎにDXF/PDFファイルとして出力していきます。
処理の流れとしては下記のとおりです。
フォルダ内ループの方法は「CATDrawingファイルがあるか確認」で解説したとおりです。

※フォルダ内ループですべてのCATDrawingファイルに下記を実行   
① CATDrawingファイルを開く
② ファイル名を作成(ファイル名はドキュメント名にする)
③ DXF/PDFとして新規作成したフォルダに出力
④ CATDrawingファイルを閉じる

 
上記の通り、手動操作でやっていることをそのままプログラム化したような処理となっています。
DXF/PDFの片方が不要な場合は、いずれかの「Call ~」の1行をコメントアウトしてください。

 

まとめ

今回は「指定したフォルダ内のすべてのCATDrawingをDXF/PDFファイルで出力するマクロ」についての内容でした。基本的には「CATDrawingをDXF/PDFファイルで出力」ページのマクロの範囲を広げただけのマクロで、書き出しの処理内容としては同じものを使用しています。

重要なのはフォルダやファイルといったアプリケーション(CATIA)外をVBAで操作するという点です。
フォルダやファイルを操作するには「FileSystemオブジェクト」を使います。
CATIAの場合は下記の2通りの方法でFileSystemオブジェクトが取得できます。

 icon-code FileSystemオブジェクト取得方法 

Dim fso
Set fso = CATIA.FileSystem                                      ‘CATIA専用の書き方
Set fso = CreateObject(“Scripting.FileSystemObject”) ‘VBA共通の書き方

上記2つのどちらで書いても問題ないので好きな書き方で使用してください。
ただ、CreateObject関数を使った取得方法はExcelやAccessなどでも使える方法なので、他のアプリケーションでも開発する機会がある場合はこちらの方法を覚えておいたほうが良いかもしれません。

 

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 CATIAマクロを本気で勉強するなら

2024年8月23日CATIA, CATIAマクロ

Posted by Lic