【CATIA応用知識】パワー入力ゾーンでの操作方法

今回は『パワー入力ゾーン』を使った操作の仕方を解説していきます。

 

パワー入力ゾーンとは

『パワー入力ゾーン』とはステータスバーの右端にある文字入力ができるエリアのことをいいます。(『パワー入力フィールド』といったりもします)

ここに簡単なコード(構文)を入力することで、いくつかの操作をすることができます。
使い方はコマンドプロンプトと似ていて、コードを入力し[Enter]キーを押すだけのいたってシンプルなものです。

パワー入力ゾーンでできることは、以下の3通りです。
主に「検索および選択」で利用することが多いと思います。

・データ入力
・コマンド実行
・検索および選択

 

icon-warning パワー入力ゾーンの注意点(特に操作言語が[日本語]の場合)

パワー入力ゾーンには決められた文字列以外を入力すると、構文エラーが発生して入力した内容は無効になります。

操作言語が英語の場合はアルファベットだけなのであまり問題はありませんが、日本語の場合は【ひらがな/カタカナ/漢字】があり、さらには【全角/半角】があるものもあります。これらの中でもコードとして認識される文字列は決まっているため全角、半角、空白(スペース)には特に注意して入力する必要があります。

たとえ書かれている内容が一緒でも、半角/全角が違っていたり、空白(スペース)が無いだけでも構文エラーとなってしまいます。

コードは絶対あってるはずなのに構文エラーと出てしまう場合は、空白が全角になっていたり、ひらがなであるべきところを漢字に変換してしまっていたりするといった"表記のミス"をしている可能性が高いのでもう一度よく見直してみましょう。

 

データ入力

ツールコマンドの中には数値を入力するものもあります。

多くの場合、ダイアログボックス上ですべて入力してしまいますが、これはパワー入力ゾーンでも入力することができます。

数値入力の必要があるコマンドのダイアログボックスが開いているとき、パワー入力ゾーンには以下のように自動で数値が入力されます。

この数値を変えることでダイアログボックス上の数値も変更することができます。
※CATIAの製品によってはこの機能が使えない場合もあります。

 

コマンド実行

ツールコマンドは一般的にツールバーもしくはメニューバーから実行しますが、パワー入力ゾーンからでもコマンドを実行することができます。

パワー入力ゾーンに以下のどちらかを入力し[Enter]キーを押下することで、任意のコマンドを実行することができます。
「コマンド名」の部分には実行したいコマンドの名称をあてはめます。

c:コマンド名
c=コマンド名

「コマンド名」に何と入力すればいいかわからない場合は、ツールアイコンにカーソルを合わせるとパワー入力ゾーンの左側に『c:新規作成』のようにコードが表示されます。ここに表示された内容をそのままパワー入力ゾーンに入力することでそのコマンドの実行をすることができます。

 

パワー入力ゾーンでのコマンド実行では違うワークベンチのコマンドを実行することができます。
たとえば、GSDワークベンチで c:パッド と入力するとワークベンチの切り替えをすることなく [パッド]コマンドを使用することができます。(すべてのコマンドに対応しているわけではありません)

 使用例 

c:新規作成
c=パッド

 

検索および選択

CATIAには [検索]コマンド(ショートカット[Ctrl]+[F])がありますが、これと同じ検索および選択をパワー入力ゾーンからでも行うことができます。

パワー入力ゾーン内にコードを入力してから[Enter]キーを押すことで、任意のオブジェクトを検索および選択することができます。
またキーボードの入力モードが[半角英数]になっている場合は、パワー入力ゾーンにフォーカスを与える(カーソルをゾーン内に入れる)必要なく、いつでもコードを入力することができます。

一度入力し[Enter]キーを押したものは、履歴が残ります。
パワー入力ゾーンにフォーカスを与えた状態で[上矢印]キーを押すことで、これまで入力してきたコードを再表示させることができます。
 

名前で検索

オブジェクトを名称から検索したい場合は以下のどれかを入力します。
「オブジェクト名」の部分には検索したい文字列をあてはめます。

name:オブジェクト名

name=オブジェクト名

n:オブジェクト名

n=オブジェクト名

どれを使っても操作の内容は同じなので、どれか1つだけ覚えれば問題ありません。

名称検索ではアスタリスク[*]を使った、『あいまい検索』をすることもできます。
あいまい検索も書き方は同じで「オブジェクト名」の部分には『*平面』のように入力します。

 icon-edit  icon-edit        『あいまい検索』とは

半角アスタリスク[*]は『ワイルドカード』と呼ばれる記号で、検索するときに不特定な文字列として扱うことができます。通常、CATIAでは"完全一致"している文字列しか検索することはできませんが、ワイルドカードを使うことで“部分一致"している文字列を検索することができます。このような検索方法を『あいまい検索』といいます。これは [検索]コマンドでも使用することができます。
 

『*平面』と検索 ⇒ 名称が『平面』で終わるオブジェクトがヒット
『平面*』と検索 ⇒ 名称が『平面』で始まるオブジェクトがヒット
『*平面*』と検索 ⇒ 名称に『平面』が含まれるオブジェクトがヒット

 使用例 

name:XY平面
name=点*
n:*平面
n=*直線*

 

タイプで検索

タイプで検索したい場合は以下のどれかを入力します。

type:タイプ名

type=タイプ名
t:タイプ名
t=タイプ名

「タイプ名」の部分には検索したいタイプの名称を入力します。

タイプ名は [検索]コマンドから調べることができます。
[検索]ウィンドウの[タイプ]プルダウンの中にあるものは基本的にすべて使うことができます。

 
またピリオド[.]で検索するタイプのワークベンチを指定することもできます。
たとえば t:ジェネレーティブ・シェイプ・デザイン.平面 と入力するとGSDワークベンチの平面を検索することができます。

ワークベンチ名もタイプ名と同じように、[検索]ウィンドウの[ワークベンチ]プルダウンの中にあるものを使うことができます。

ただ、プルダウン内にある文字のとおりに入力しないと読み取られません。
全角、半角、空白(スペース)には注意して入力しましょう。
たとえば『ジェネレーティブ・シェイプ・デザイン』は読み取ってくれますが『ジェネレーティブ・シェイプ・デザイン』は読み取られません。

 使用例 

type:点
type=パッド
t:ジェネレーティブ・シェイプ・デザイン.平面
t=パート・デザイン.面取り

 

色で検索

色で検索したい場合は以下のどれかを入力します。

color:色の名前
color=色の名前

col:色の名前
col=色の名前

「色の名前」の部分には以下の表に書かれている名称をそのまま入力します。
日本語環境の場合は『名称(日本語)』、英語環境の場合は『Name(English)』に書かれている名前を使用してください。

名称(日本語) Name(English) # RGB 色
白 White 2 (255,255,255)                  
黄 Yellow 26 (255,255,0)                  
オレンジ Orange 42 (255,128,0)                  
赤 Red 25 (255,0,0)                  
サーモン Salmon 17 (255,128,128)                  
マジェンタ Magenta 32 (255,0,255)                  
バイオレット Violet 48 (128,0,255)                  
青 Blue 45 (0,0,255)                  
ドジャー ブルー Dodger Blue 22 (0,128,255)                  
シアン Cyan 29 (0,255,255)                  
緑 Green 35 (0,255,0)                  
ダーク グリーン Dark Green 43 (0,128,0)                  
サンディ ブラウン Sandy Brown 16 (211,178,125)                  
マルーン Maroon 33 (128,64,64)                  
バーガンディ Burgundy 41 (128,0,0)                  
黒 Black 1 (0,0,0)                  

デフォルト16色を含めた基本色の48色は『CATIA V5 カラーパレット』のページでまとめてあります。
 

色は名称以外にもRGBもしくは色インデックスで入力することも可能です。

RGBで入力する場合は col:'(0,0,0)’ のように入力します。
色インデックスで入力する場合は col:1 のように入力します。
(色インデックスは上の表でいう[#]の番号です)

 使用例 

col:シアン
col:'(0,255,255)’
col:29

 

線幅/線種で検索

線幅で検索したい場合は以下のどれかを入力します。

weight:インデックス番号
weight=インデックス番号
w:インデックス番号
w=インデックス番号

線種で検索したい場合は以下のどれかを入力します。

dashed:インデックス番号
dashed=インデックス番号
d:インデックス番号
d=インデックス番号

 
線幅/線種のインデックス番号は[グラフィックプロパティ]ツールバーから調べることができます。
線幅/線種のプルダウンメニューに表示されている番号がインデックス番号となります。

 使用例 

weight:1
w=6

dashed=7
d:4

 

シンボルで検索

シンボルで検索したい場合は以下のように入力します。

symb:シンボル名
symb=シンボル名

シンボル名はそれぞれ以下のようになっています。

クロス
プラス
円 
二重円
点
塗りつぶした正方形
星形
塗りつぶした小さい正方形
小さい点

 
シンボルも色や線幅/線種と同じようにインデックス番号で入力することができます。
シンボルのインデックス番号は[グラフィックプロパティ]ツールバーには表記されていませんが、上から順に1~9となっています。たとえば円の場合は3、星形の場合は7となります。
インデックスで入力する場合は symb:1 のように入力します。
 

シンボルというと[点]の表示方法のイメージがありますが、じつは点以外のオブジェクトにもクロスシンボル(変更不可)がふられています。
そのため symb:クロス と入力すると、点以外のオブジェクトもすべて検索されてしまいます。

もし、シンボルがクロスの[点]だけを検索したい場合は「タイプで検索」の t:点 と組み合わせます。
symb:クロス&t:点 のように[&]でつなぐことで「シンボルがクロスでタイプが点のもの」のみを検索することができます。

 使用例 

symb:星形
symb=5
symb:クロス&t:点

 

演算子を使った検索

これまでにさまざまな検索方法が出てきましたが、これらは演算子を使って検索することができます。
たとえば、[色で検索]と[タイプで検索]を合わせて「黄色の平面」という内容で検索をかけることができます。

演算子に利用できる記号はアンパサンド[&]、プラス[+]、マイナス[-]、括弧[( )]です。
 

アンパサンド[&]

入力した条件をすべて満たすオブジェクトを検索したい場合にはアンパサンド[&]を使います。
たとえば col:黄&t:平面 と入力すると「色が黄色」かつ「タイプが平面」であるオブジェクトを検索することができます。
  

プラス[+]

入力した条件のどれかを満たすオブジェクトを検索したい場合にはプラス[+]を使います。
たとえば col:黄+t:平面 と入力すると「色が黄色」、もしくは「タイプが平面」であるオブジェクトを検索することができます。
 

マイナス[-]

入力した条件からある条件を除いたオブジェクトを検索したい場合にはマイナス[-]を使います。
たとえば col:黄-t:平面 と入力すると「タイプが平面」を除いた「色が黄色」であるオブジェクトを検索することができます。
これを逆に t:平面-col:黄 と入力すると「色が黄色」を除いた「タイプが平面」であるオブジェクトの検索となり、意味が変わってしまうため順番には注意する必要があります。

 

 icon-edit 特殊記号を文字列として検索するには 

アスタリスク[*]、アンパサンド[&]、プラス[+]、マイナス[-]、括弧[( )]などの特殊記号は文字列ではなくコードとして認識されます。
 
そのため名前が『&』のものを検索したいときに n:& と入力しても、[&]が特殊記号と認識されてしまうため検索することができません。

このような特殊記号を文字列として扱うには、特殊記号の前後をシングルクォート[‘]で囲む必要があります。
つまり n:‘&’ と入力することで名前が『&』のオブジェクトを検索することができます。

 
特殊記号の中でもアスタリスク[*]の場合のみ2つのシングルクォート[‘]で囲む必要があります。

たとえば『*』という名前のオブジェクトを検索したい場合は n:’’*’’ と入力します。

名前が『*』からはじるオブジェクトの検索は n:’’*’’ *
名前が『*』で終わるオブジェクトの検索は n:*’’*’’ となります。

 使用例 

symb:クロス&t:点
n:*形状*+col:1+t:直線
t:平面-(col:赤+col:緑)

 

検索範囲の指定

[検索]コマンドと同じように選択範囲を指定することができます。
選択範囲を指定するには検索するときのコードの末尾に ,all のようにカンマ[,]をつけて検索範囲を指定します。
たとえば全範囲から平面を検索したい場合は t:平面,all のように入力します。

allの場合は全範囲からの検索ですが、他には以下のような指定をすることができます。

all    :全ての範囲から検索
in     :現在使用しているワークベンチおよびアクティブなオブジェクト内で検索
from:アクティブなオブジェクトの要素を検索します。
sel   :選択しているオブジェクト内で検索
scr   :現在のウィンドウに表示されているオブジェクトから検索

また括弧[( )]で囲んでの入力も可能で (t:平面),all と入力することもできます。

 使用例

n:*平面,all
(t:平面+col:緑),in
col:'(255,255,255)’&t:点,sel

 

まとめ

今回の内容をまとめると以下の通りです。

icon-check-squareパワー入力ゾーンでは以下の3通りのことができる
 ・データ入力
 ・コマンド実行
 ・検索および選択
icon-check-square パワー入力ゾーンの検索は[検索]コマンドとほぼ同じ検索が可能

パワー入力ゾーンを使いこなせると [検索]コマンドで検索するよりも素早く検索することができます。
またより細かい設定で検索することができるため、検索をよくする人は覚えておいて損はない機能です。

 

 

2024年8月26日CATIA