ワークベンチとは|0から学ぶCATIA V5
CATIAには『ワークベンチ』という機能があり、CATIAを扱うのであれば必ず知っていいないといけない内容です。
今回出てくる基本のワークベンチ5種が本サイトの基盤でもあるためしっかりと内容を理解しておきましょう。
詳しい解説は各ワークベンチの専用ページで解説するため深い内容はここでは解説しませんが、それぞれどのようなこととができるかの概要は理解しておいてください。
このページでは以下の内容が学べます。
ワークベンチとは何か
基本のワークベンチ 5種類とその概要
ワークベンチとは
CATIAにはさまざまな機能が備わっているため、数百種類のコマンドがあります。
これらのコマンドは機能別に『ワークベンチ』というものに割り振られています。
『ワークベンチ』とは『作業用テーブル』を意味する言葉で、上の画像のようなアイコンで表示されます。
ワークベンチは作業内容ごとに数種類に分けられています。
たとえば図面を書くためのワークベンチ、形状を作成(設計)するためのワークベンチ、強度を解析するためのワークベンチ、シミュレーションを行うためのワークベンチのようなイメージです。
それぞれのワークベンチではその作業内容に関連するコマンドのみが表示され、その他のコマンドは表示されないようになっています。
CATIAではこのワークベンチを切り替えながら設計の作業をしていきます。
たとえば以下のような流れです。
① 形状作成用のワークベンチで3D形状を作成
② その後、強度解析用のワークベンチに切り替えて3D形状の強度を解析
③ 強度に問題がなければ図面作成用のワークベンチに切り替え3D形状の図面を作成
このように作業の内容にあわせてワークベンチを切り替えることで、1つの流れとして設計作業をすることができます。「図面を作るだけ」「3D形状を作るだけ」といったそれぞれが独立した作業だけではなく、ある程度の流れにそって作業をすることができるのはワークベンチ機能をもつCATIAの強みです。
基本ワークベンチ
主に使われる基本のワークベンチは以下の5種類です。
ワークベンチ名 | 主な使用用途 |
スケッチャー | 2次元上での作図や設計内容の検討 |
パート・デザイン | 3次元上での設計、形状作成(ソリッド形状) |
ジェネレーティブ・シェイプ・デザイン | 3次元上での設計、形状作成(サーフェス形状) |
アセンブリー・デザイン | 作成した複数の部品の組み立て |
ドラフティング | 図面の作成 |
これら5種類のワークベンチを使うことができるようになれば3D形状の作成から、図面の作成までの一通りの設計の仕事が可能になります。
解析やシミュレートなどを考慮した精密な設計はできませんが、初めのうちはこの5種類さえ使うことができるようになれば問題はありません。
実際の実務でもこの5種類のワークベンチをメインとしている場合が多いので、「どのワークベンチを学習すればいいの?」という方はまずこの5種類から理解しておきましょう。
以下では本サイトで解説していく上記5つのワークベンチの概要を簡単に解説していきます。
詳細は各ワークベンチの専用ページがあるため、そちらで解説していきます。
スケッチャー
スケッチャーワークベンチでは2次元空間上で形状の輪郭や断面をスケッチすることができます。
ここで作成した輪郭や断面を押し出すことで3D形状が作成されます。
スケッチするときには「拘束」というものを使ってスケッチを固定していきます。
拘束は大きく分けて以下の2つに分けることができます。
寸法拘束 ⇒ 距離や角度、半径などの寸法による拘束
幾何学拘束 ⇒ 接線や平行などの複数の線の関係性による拘束
パート・デザイン
パート・デザインワークベンチではソリッドを使った3D形状の作成が行えます。
スケッチャーワークベンチで作成したスケッチを使って押し出したり、くり抜いたりすることで3D形状を作成していきます。
パート・デザインワークベンチにはスケッチの押し出しや、くり抜きといったコマンド以外にも様々なコマンドがあり、それらを組み合わせることで徐々に形状を作っていきます。
複雑すぎる形状を作成することはあまり得意としていませんが、非常に直感的に形状を作成することができるワークベンチです。
ジェネレーティブ・シェイプ・デザイン
ジェネレーティブ・シェイプ・デザインワークベンチではワイヤーフレームとサーフェスを使った3D形状の作成が行えます。
パート・デザインワークベンチのようにスケッチを押し出すだけではなく、複数のスケッチを滑らかにつなぐといったこともでき、作ったサーフェス同士をくっつけたりカットしたりするといった様々なコマンドを組み合わせて3D形状を作成していきます。
パート・デザインワークベンチに比べ操作方法や形状作成の考え方は難しいですが、滑らかな曲面や複雑な形状などを得意とした自由度の高い形状作成が行えるワークベンチです。
本サイトではジェネレーティブ・シェイプ・デザインワークベンチの英名「Generative Shape Design」の頭文字を取りGSDワークベンチと表記する場合があります。
アセンブリー・デザイン
アセンブリー・デザインワークベンチでは複数の部品を3次元空間上で組み立てて、ASSY部品や製品データの作成をすることができます。
1つ1つが独立していた単品部品を1つのASSY部品や製品として組み立てることで、部品同士の位置関係を確認することができます。
『単品部品』『ASSY(アッシー)部品』とは部品の種類を表す用語です。
単品部品 → それ以上分解することのできない部品のこと
ASSY部品 → 複数の部品が集まってできている部品のこと
詳しくは単品部品/ASSY部品とはを参照ください。
ドラフティング
ドラフティングワークベンチでは上記4つのワークベンチで作成した単品部品、ASSY部品を投影して図面を簡単に作成することができます。
正面から見た形状、側面から見た形状、上から見た形状などをはじめ、自分の好きな方向から見た形状を投影することができます。また、図面には寸法を簡単に入れることができ、寸法値は投影した形状と同じものが自動で入力されます。
図枠や注記、テーブルなどの図面として必要なものを作成するのもすべてこのドラフティングワークベンチでできるようになっています。
基本ワークベンチの流れ
これまで説明してきた基本のワークベンチでの図面作成の流れをまとめると以下の通りです。
ASSY部品の場合は① → ② → ③の流れ
単品部品の場合は① → ③の流れで形状と図面を作成していきます。
単品部品を作成する①の3つのワークベンチの関係は以下の通りです。
形状作成は主にスケッチャーとジェネレーティブ・シェイプ・デザイン(GSD)、もしくはスケッチャーとパート・デザインを切り替えて作成していきます。
GSDとパート・デザインの切り替えも可能ですが、ここの切り替えはあまり使われません。
基本的にははじめに『サーフェス』で部品を作るのか、『ソリッド』で作るのかを決めます。
このときサーフェスで作るのであればGSDとスケッチャー、ソリッドの場合はパート・デザインとスケッチャーを切り替えて作成していくのが一般的なスタイルです。
GSDとパート・デザインを深く絡み合わせてる人はあまり見かけませんが、作り方にルールはないので(企業によっては決まっているかもしれませんが)自分に合ったスタイルで形状作成をしていきましょう。
まとめ
今回の内容をまとめると以下の通りです。
『ワークベンチ』とは作業ごとに振り分けられた作業台
CATIAではワークベンチを切り替えながら設計作業をしていく
基本ワークベンチは以下5種類
スケッチャーワークベンチ
パート・デザインワークベンチ
ジェネレーティブ・シェイプ・デザインワークベンチ
アセンブリー・デザインワークベンチ
ドラフティングワークベンチ
『0から学ぶCATIA V5』では今回出てきた基本ワークベンチ5種類の解説を行っていきます。
他のワークベンチは『0から学ぶCATIA V5』をすべて終えてから学習しても全然問題ない内容なので、まずは基本をしっかりと押さえていきましょう。
【次回】ワークベンチの切り替え
【前回】CATIAの起動と終了
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