CATIAで使用可能な数学的関数まとめ|0から学ぶCATIA V5
CATIAにはオフセット値や座標値、長さ,角度などの様々なパラメータがあります。
そしてこれらのパラメータは[式]で紐づけることができます。
パラメータ値を式で紐づけることで、パラメータAの値が変化したらそれに追従してパラメータBの値も変化するようにすることができます。この機能によりスケッチと形状の関係性を常に保たせたり、履歴上での変更のし忘れなども防止することができます。
さらに、この式ではパラメータの値を”都合のいい数値”に変更することのできる「数学的関数」というものも存在しています。ここでいう都合のいい数値とは例えば「小数点以下を切り捨てた値」や「絶対値」などの、それ以降の計算がしやすくなるような値のことです。
この数学的関数によって式で表現できる幅が広がり、柔軟な関係を作成することが可能になります。
そこで今回は、そんなCATIAの式で使用可能な「数学的関数」を紹介していきます。
Excel関数を理解している人にとっては同じ考え方で使用できるので、使える関数の種類さえ抑えておけば問題ないと思います。(Excel関数にある関数と全く同じものもあります)
数学的関数(Mathematical Functions) 一覧
関数はある値が入れられた時に、その値を使って別の値に変換する機能です。
たとえば入力された値の「絶対値に変換して返す」「四捨五入して返す」「対数を返す」など様々なものがあります。
このとき入力する値のことを「引数」といいい、
関数によって変換して返される値を「返り値/戻り値」といいます。
関数は「abs(Real)」のように表されます。
このとき、括弧の中にはその関数に入力する値、引数が入力されます。
下図はCATIAで使用可能な数学的関数をまとめたものですが、括弧の中に書かれている文字「Real」や「String」などは引数のタイプを表しています。引数のタイプが不一致の場合は関数を適用できないので注意しましょう。(※ Real=実数, String=文字列, Intege=整数, Boolean=ブール)
引数は1つとは限らず、複数入力することが出来る関数も存在します。
その際は「round(Real,String,Integer)」のようにカンマ[,]で区切って引数を指定します。
abs(Real) | 引数の絶対値を返す |
ceil(Real) | 引数の小数部分を切り上げた整数値を返す |
floor(Real) | 引数の小数部分を切り捨てた整数値を返す |
int(Real) | 引数の整数値部分を返す |
min(Real,Real,…) | 引数の中から最も小さい値を返す |
max(Real,Real,…) | 引数の中から最も大きい値を返す |
sqrt(Real) | 引数の平方根を返す |
log(Real) | 引数の対数を返す |
ln(Real) | 引数の自然対数を返す |
round(Real, String, Integer) | 第1引数を丸めた(四捨五入した)値を返す Real = 丸める実数 String =丸めた後の単位 Integer = 表示する桁数 ※長さや角度などの単位のあるパラメータにのみ有効 ex――――――――――――― round(1.235 ,”mm” ,1) の場合、返り値は1.2mm round(1.235 ,”mm” ,2) の場合、返り値は1.24mm |
exp(Real) | 引数の指数を返す |
mod(Real,Integer) | 第1引数(Real)を第2引数(Integer)で割ったときの余りを返す 返される値はInteger(整数型) |
cos(Real) | 引数に対する余弦を返す [コサイン] |
cosh(Real) | 引数に対する双曲線余弦を返す [ハイパボリックコサイン] |
tan(Real) | 引数に対する正接を返す [タンジェント] |
tanh(Real) | 引数に対する双曲線正接を返す [ハイパボリックタンジェント] |
sin(Real) | 引数に対する正弦を返す [サイン] |
sinh(Real) | 引数に対する双曲線正弦を返す [ハイパボリックサイン] |
asin(Real) | 引数に対する逆正弦を返す [アークサイン] |
asinh(Real) | 引数に対する逆双曲線サインを返す[アークハイパボリックサイン] |
acos(Real) | 引数に対する逆余弦を返す [アークサイン] |
acosh(Real) | 引数に対する逆双曲線コサインを返す[アークハイパボリックコサイン] |
atan(Real) | 引数に対する逆接線を返す [アークサイン] |
atanh(Real) | 引数に対する逆双曲線タンジェントを返す[アークハイパボリックタンジェント] |
not(Boolean) | 引数の逆のブール値を返す ex――――――――――――― not(True) の場合、返り値はFalse not(False) の場合、返り値はTrue |
※三角関数、逆三角関数、双曲線関数、逆双曲線関数の引数は実数(Real)となっていますが、厳密にいえば「角度」が入力されます。そのため実数と合わせて単位である[deg]、ラジアン[rad]が無いとエラーが発生するので注意しましょう。角度パラメータと紐づける場合は角度パラメータ自体に単位がついているため単位は不要です。
GSDワークベンチでのみ使用できる数学的関数もありますが上表では省略しています。
詳しくは下記ページ、もしくはCATIAヘルプを参照下さい。
参考:Mathematical Functions – Catia V5 CATIADOC
まとめ
今回はCATIAで使用可能な数学的関数についての解説記事でした。
Excel関数やプログラミング知識のある方にとっては、存在している関数とその引数さえ知ればすぐに使いこなせる内容になっています。
実際のところ三角関数や双曲線関数を使う人の方が少数ではあると思いますが、知っていることでできることの幅が広がるので覚えておくだけでもいつか役に立つと思います。